23歳のとき、新卒で入社した会社で働いていた時の出来事なんだけど。
不動産の営業職に就いた僕は、恐ろしいくらいに仕事ができなかった。
何をやっても上手くいかないし、やろうとしても周りの人間みたいに上手にこなすことがどうしてもできなかった。
毎日クヨクヨ悩みながら仕事をしてたんだけど、ある日ものすごいムカつく客から言われたひと言が印象に残ってね。
「出来ないんだったら辞めちまえ」
仕事を辞めてから何年も経ってからその意味が分かるようになった。
だからほんの少し僕が学んだことを話そうと思う(*^▽^*)
偉そうで口の悪い史上最低の客
僕は分譲マンションの営業をしていたんだけど、ある日一組のお客さんから内見の予約が入ったの。
まぁその客が表題の通りで最低な客だったんだけど。
物件の前で待ち合わせた僕らは、お互いのことを見つけて会釈をしながら歩み寄った。すでにその時から横柄な歩き方で……
「キミが見せてくれんの?くだらない話はいいから見せて」
自信が全くない僕は、このひと言でもう萎縮状態……
「あっ、はい……」
さっそく物件の内見をするんだけど、もうここからの質問攻めがすごいすごい。
矢継ぎ早に投げられる質問はどれも答えられないものばかりだった。
「近隣住民はどう?仲良くやってんの?」
「ここタクシーはどんくらい通るの?」
「バスはどんくらい遅延すんの?」
僕が焦りながら返答をしようとする、1~2秒の間に
「調べて」
と語気を強めて言われる。
その時の顔が怖いのなんの。
それから後も「この程度の物件でこの金額はおかしい」とか「もっと簡潔に話せ」とか「バカにしてんの?」とか、もう言われ放題でもともとない自信がもっと無くなった。
その客もあまりに頼りない僕にイライラしたのか、
「自信なさそうにすんなや客の前で」
明らかに嫌そうな顔をして言ったんだ。
内心「うるせー」とは思ったが言えるわけもなく……
そしたら客は続けてこう言ったの。
「営業できねえんだったら辞めちまえ」
できないんだったら辞めちまえ
「なんで営業なんかやってのよお前」
うるせーな本当に。
そんな僕の思いは届くはずもなく、その客は言葉を続けるんだ。
「お前人と接するの苦手だろ?」
「……はい」
なんだかこの客に見透かされてる気持ちになって、気分が悪くなる。まぁ誰が見ても人と接するのが好きなタイプには見えないか……
もう散々だ、早く帰りたい……
「だったらそういう仕事に就けばいいだろ。迷惑なんだよ」
め、めいわく?
僕が働いてるのってめいわくになるの?
これは効いたぁ……
その客は「近いから送ってくれるか?」と言い、文句を言うだけ言って、僕に自宅まで営業車で送らせた。
結局営業の仕事はすぐに辞めてしまったんだけど、数年経った頃にふとこのやり取りを思い出して意味がなんとなく分かったんだ。
弱みは強み
人と接するのが苦手
これは僕の弱みだ。
確かに人と接することが苦手なヤツが何で営業なんかやってたんだ。
そしてそんな僕にムカつく客は
「 だったらそういう仕事に就けばいいだろ。迷惑なんだよ 」
と冷たく言い放った。
そして僕はこのことを振り返ったときには、まさに人と接することが苦手という弱みが生かせる仕事に就いていたんだ。
福祉関係の仕事に就いていた頃。
日常生活に困難等を抱えていて、ひとりで暮らしていけない人たちの支援を行っていた。中には思うように言葉を話すことができない人もいて、言葉選びなんかは特に気を使う毎日だ。
適度な距離感を保ちながら相手を観察して、ベストな関わり方を選んでいくことが僕の気を付けているポイントでもあり、コミュニケーションは「慎重」が常に頭の中にあった。
そして良くも悪くもコミュニケーションに慣れていない僕の慎重な関わり方を、好んでくれる人がたくさんいたんだ。
ちょうどこの時だった。
あのムカつく客の言ってたことを思い出したのは。
人と接することが苦手
これは僕の場合
対人へ慎重になりすぎる
このことが招いていた弱みだった。
そして「対人へ慎重になりすぎる」僕の性格は、営業とは打って変わってこの時の仕事にはマッチしたんだ。
弱みを認めて強みに気づく
弱みなんて解釈のしかた次第で、みんな強みになる。
弱みを認めない限りどんな良い強みでさえ気が付くことができないんだ。
それってもったいなくない?
せっかく生まれ持った強みなんだから、知っておこうよ。
たとえば
かる~く自己分析をしたら、自分の長所が見えてくるかもしれないよ。
いくら凹凸の凹がいっぱいあっても、僅かにある凸が秀でているのなら変える必要なんてない。
自分に合った仕事は絶対にあるよ(*^▽^*)
ってことをムカつく客から学んだね。