・単純にボランティアに興味がある
・単位の為に行かなきゃいけない
・働くことを考えている
などなど、ボランティアの理由は様々だ。さて、今回はどんな理由であれ、全員対象でボランティアのいろはを書いていくよ!
ちなみに僕は障害者支援の仕事に勤めたこともあるし、ボランティアも二桁以上の活動に参加してきているから、信用していただいて大丈夫かと。
実習やボランティアに参加する人たちの心細い顔も見てきた。そして僕は、勤めたこともあって障害を持つ人たちに思い入れがあるんだ。
だから双方にとって素敵な出会いになるように好き放題書いていくよ(゚∀゚)
実は色々ある障害者施設でのボランティア
“障害者施設でのボランティア”
この言葉でどんなものを想像するだろうか。
「下のお世話をするの?」
「お外に出かけたり?」
とまぁ、あれこれイメージがあると思う。
実はね、障害者施設でのボランティアって色々な形があるんだ。お外に出かけるボランティアもあれば、施設内で過ごすボランティアもある。
調理をするボランティアもあればイベントの補助をするボランティアもある。
さすがにすべてを説明したらキリがないから、今回はより一般的な施設内での支援ボランティアの詳細を解説していこうと思う。
学校の授業関係で実習に行く人も、参考になるかもしれないよ。
支援ボランティアってなに?
今回紹介をする障害者施設での支援ボランティアは、その名の通り、障害を抱えた人たちの支援を行うボランティアのことを指す。
そうだな、具体的に言うと……
・作業の補助(内職作業、調理等)
・食事介助
・相談相手
などなど、ざっくり言うとこんな感じよ。
利用者の人たちにとって施設とは、僕らにとっての職場みたいなものなんだ。だから、日中は施設内であらゆる活動を行いながら過ごすんだよ。
支援ボランティアはそのような場所で、活動を行うんだ。
さて、じゃあ実際の流れについて、説明しちゃいましょう。
ボランティアの実際の流れ
支援だの介助だの言われてもわからん(゚∀゚)
って人も多いと思う、うん。
だから、実際にボランティアの1日を体験談風に書いていくよ。朝、施設に到着してから活動終了まで、日記だと思って読んでくれ。
ちなみに今回は以下の施設をモデルにするね。
ボランティアの1日(体験記風)
今日はいよいよボランティアだ。
時刻は9時50分、ちょうど指定された時間に施設に到着した。
ピンポーン
「はい」
「あ、ボランティアで来ました」
「お~お待ちしてました、僕くん。こちらにどうぞ」
入口からすぐ近くの会議室に通される。どうやらここで何かしらの説明を受けるようだ。
「あ、申し遅れました。施設長の林と申します。施設の説明からいたしますね」
「あ、宜しくお願いします」
ボランティアの内容かと思いきや、施設の説明が始まる。
難しい話は苦手だ。
僕は大半の話を「うんうん」と聞き流していた。そして、そのあいだに退屈な施設の説明が終わり、いよいよボランティアの説明が始まった。
「それでは、今日実際にやっていただくことなんですが」
「あっ……はいはいっ」
「こちらがスケジュールになります」
目の前に差し出された活動スケジュールを見る。
休憩、多くね?
え、こんな楽なもんなの?
てか、ここの職員って楽じゃね?
何回休憩してんのよ?
と思っていたのだが、ここで林さんが慌てるように声を出した。
「あ、間違えた!それ利用者さんのだ!」
「え?あ?違うんですか?」
「すみませんね、こちらが支援者用のやつでした。ハハッ」
もう1枚、似たような紙が差し出される。
あれ?
休憩が、無い……
なにこれ、めっちゃ忙しそうじゃん。
てか、職員、大丈夫?
10:20~ボランティア開始~
「こ、こんにちは」
おそるおそる活動室のドアを開ける。ちょうど朝の会をしている最中らしく、ドアを開けた僕に視線が集まった。
「あ、こんにちは。ボランティアの僕さんですか?」
「は、はい」
お、20代半ばくらいだろうか……わりと可愛い……。
「佐藤といいます。よろしくお願いします」
佐藤さんは深々と頭を下げた。おぉ、大胆なおっp……(汗)
そして利用者は、不思議そうな顔をしている人や見向きもしない人、また「誰じゃー」などと指をさす人など、反応は様々だ。
「それじゃ、せっかくだから自己紹介をしてください……はいっみんなー!ちゅうもーく!こっち見てくださーい!」
ええ、いきなり自己紹介ですかぁ……どうしよ
「僕さん、みなさんにご挨拶をお願いします」
「あ、えーと。僕といいます……よろしくです!」
シーン……
ええ……なんで無反応なんだよ。
ってか見てくれてすらないし……
「気にしないでくださいね、いつものことですから」
「あ、はい……」
10:30~作業開始~
「それじゃあ、僕さんはこちら」
「あっ、はい」
僕は活動室の端の席に案内された。左隣りは空席、右隣には30代だろうか、少しふくよかな男性の利用者が座っている。
「こちらが田中さん。基本的に作業はひとりで完結できます。でも時どき間違えるから、その時は声を掛けてあげてくださいねっ」
「はい、分かりました」
佐藤さんは微笑みながら離れていった。かわいい、なんて可愛い人なんだ。よし、頑張らなくてはいかん!
「田中さん!」
ちらりと、こちらを見た。
おお、いけるじゃないか。よし、このまま……
「僕っていいます、よろしく!」
「……」
「た、なかさん?」
「……(プイッ)」
ええ……もうヤダよ帰りてぇんだけど……
11:00~休憩時間~
僕はダメなんだ、この人に嫌われてるんだ……。
話しても話しても返ってこない、僕はさすがに心が折れかけた。まだ30分しか経っていないが、これが16時まで続くなんて耐えられない。
「僕さん、どうですか?」
「さ、佐藤さん……。田中さん、僕のことダメみたいです、ははは」
「最初だけですよ、田中さんは。人見知りなので焦らないでください」
佐藤さんはニッコリとほほ笑む。
「あ、あと言い忘れてました。田中さんは言葉が喋れないんです」
「え?」
「田中さんは言葉の代わりに、ジェスチャーや視線で気持ちを伝えてくれるんですよ。打ち解けたら見られるかもしれませんね」
「はあ……」
「あーお茶こんなにこぼしてる!」
誰かがお茶の入ったピッチャーを落としたみたいだ。
職員は慌てて対応に入る。落とした本人と話をしているが、どうやら会話を聞く感じ、怪我がないのかを入念に確認しているようだ。
「あーちょっと、吐いてる!」
今度は反対方向で騒ぎが起きる。
体調不良だろうか、一人の利用者が床に嘔吐をしてしまったようだ。当然、職員が対応に追われる。嘔吐物の処理、利用者の対応、もう室内はてんてこまいだ。
「誰か、ぞうきん!」
佐藤さんが呼びかける。ここは、僕が行くしかないだろう。
「いま、持っていきます!」
僕は机上の雑巾を佐藤さんに手渡した。
「ちょっと何やってるんですか!」
今度はなんだ。一体なんなんだ、この部屋は。
声のほうを振り返ると、そこは田中さんの席だった。
「あ……」
田中さんの組み立てた部品が粉々になっているのが目に入る。
どうやら、イタズラで倒された模様。
田中さん、せっかく一生懸命作ってたのに……
「はぁ……」
12:00~昼食、昼休み~
「いただきます」
「いただきます」
「いただきます」
食事は全員でとるスタイルらしい。それぞれが5か所のテーブルに分かれて食事を始めている。これは懐かしい……中学以来の給食だ。
僕は佐藤さんと同じテーブルになった。
「職員は食事介助をするからゆっくり食べられないんですよ」
佐藤さんの手元にはスプーンと茶碗が置いてある。そして茶碗にスプーンひとすくいのおかずを丁寧に乗せた。佐藤さんの横に座る利用者はそれを受け取り、丸飲みするように食べた。
「この方はかき込んで食べるから、一口ずつにしないと喉が詰まっちゃうんです。だから絶対に、一人で食事はさせられないんですよ」
丸飲み……ってことは、窒息するってことか。
その後も少しずつ食事を利用者に与えていき、ゆっくりと食事を進めている。佐藤さんの昼食は、まったく進んでいない。
佐藤さんの食事介助が終わる頃には、もう食堂にいる全員が食事を終えている様子だった。そして佐藤さんは味わう余裕もなく、それこそ丸飲みするように急いで自分の食事を取りはじめた。
食事介助って、こういうことだったのか。
「ごちそうさまでした」
食事が終わり、各々食器を片付ける。このあとは、確か歯磨きの時間だった。利用者は全員、慣れた様子で手洗い場に向かっていく。
「この後は歯磨きなんだけど、僕さんは休憩してきてください」
「えっ、でも」
「いいんです、いいんです。30分後に戻ってきてくださいね。もう食堂使っていないので、良かったらそちらで」
佐藤さんはウンウン、と頷くように言った。仕方なく、僕は休憩をすることにしたが、なんだか少し申し訳なく感じた。
13:15~作業開始~
「休憩ありがとうございました」
「あ、僕さん。ちょうどよかった!」
佐藤さんは何やらトートバッグを肩に掛けている。そして佐藤さんの周りには田中さんをはじめ、利用者が3人ほど集まっていた。
「僕さんも、一緒にポスティングに行きましょう」
「ポ、ポスティングですか?」
「うちはポスティングの作業もあるんですよ。近隣の決められたエリアを回って、これを配り切るんです」
「あ、はい。分かりました」
佐藤さんと僕と利用者の3人は、部屋を出て外に向かった。聞いてなかったが、食事の後で眠たくなりそうだったからちょうど良い。
僕らは住宅街を歩く。
しかし、佐藤さんは休憩をしなくて平気なのだろうか。
「僕さん、ポスティングは初めてですか?」
「いえ、高校時代にバイトで少しは……」
「そうなんですね。利用者さん、ポスティングは好きみたいですっごく上手に入れるんですよ」
そう言いながら佐藤さんは、田中さんにチラシを手渡した。
「……」
田中さんは受け取ったチラシを丁寧に二つ折りにして、ポストに入れた。そして佐藤さんに手を差し出す。「もう1枚よこせ」と言っているのだろうか。
「はい、じゃあもう1枚」
「……」
田中さんは再び受け取ったチラシを丁寧に折る。そしてポストに入れた。確かに、手際が良くてとても丁寧だ。
すごい、きっと僕よりも全然慣れているんだろう。
「田中さん!」
田中さんはピクッと反応をする。しかしこちらは見ない。
「上手ですね。すごいです!」
「あら、田中さん褒められちゃったね。良かったじゃない」
田中さんはこちらを見ずに、頭をボリボリと掻いていた。
100枚は配っただろうか、疲れててもおかしくない頃なのに、田中さんは依然テキパキとポスティングを続けている。ポスティングも終盤に差し掛かる。
「あ、こっち。こっち行きましょ」
「え」
佐藤さんがT字路で、右に進路変更する。そちらには森が生い茂るだけで一軒家は見られない。
「こっち、なんですか?」
「ワケはあとで話します、こっちに来てください」
「は、はい!」
僕らはそのまま歩き、森の手前で曲がる。そして、ぐるりと回るようにして元の道に戻った。結局、遠回りしただけだけじゃないか。
「さっき、前にベビーカーを押してるお母さんがいたの、気が付きました?」
「ん、いましたっけ?」
「田中さん、赤ちゃんの泣き声が苦手なんです。パニックになっちゃって走り出しちゃうんです」
田中さんを見ると、相変わらず寡黙に見えた。その様子からは、パニックになって走り出す姿はとてもじゃないが想像がつかない。
枚数が少なくなったチラシはいつの間にか田中さんがすべて手に持っており、僕らの会話も聞こえていない様子で淡々とポストに入れていた。
「外で走り出すのって、大変ですね」
「施設の中は守られた空間なんですよね、でも外は違うんです。苦手なものへの配慮が一切ない場所なので、それなりに神経を使いますよ」
それから何分も経たないうちにポスティングは終了した。
15:30~作業終了、帰りの会~
なんだかんだ時間は経って、もう活動も終わりの時間だ。
「はい、それではみなさん!ちゅうもーく!僕さんともこれでお別れなので、ひと言みなさんに挨拶をしていただきますね!」
「はい、あの~……今日1日、短い間でしたが楽しかったです。とても勉強になりました。ありがとうございました」
うん、挨拶って苦手だ。
これから利用者のみんなは、それぞれの家に帰るらしい。一人で帰る人や家族が迎えに来て帰る人、また送迎者を利用して帰る人など、様々だ。
職員が一人ずつ、間隔をあけて名前を呼んでいく。
「いっぺんに帰らないんですか?」
「玄関がごった返しちゃうから、順番に帰るんですよ」
「なるほどですね」
そして最後に、田中さんの名前が呼ばれる。
田中さんはゆっくり立ち上がり、入り口にいる僕らに向かって歩いてくる。佐藤さんは笑顔で「また明日ね」と田中さんに声を掛けた。
田中さんは僕らの横で立ち止まる。
「……え?」
「……」
無言で差し出された手は、僕に向けられている。ふと田中さんの顔を見ると、その目はまっすぐに僕を見ているようだった。
「あ、ありがとう!田中さん」
僕は差し出された田中さんの手を、力いっぱい握った。田中さんは相変わらず無表情だけど、なんだか喜んでいるように感じた。
そして田中さんは、ぎゅっと握手した手を離して部屋を出ていく。
「僕さん、すごいですよ。あれは田中さんなりの愛情表現です、限られた人にしかやらないんですよ」
佐藤さんは、今日1番の笑顔で微笑んでくれた。
なんだか、とっても嬉しかった。
ボランティア終了
「僕さん、お疲れさまでした。どうでしたか」
「最初は緊張していましたけど、佐藤さんのおかげで何とか乗り切れました。ありがとうございました」
「いえいえ、そんな」
「あと、とっても大変な仕事だと感じました。外でパニックになるとか、自分じゃ考えられないことばっかりで……皆さんすごいです」
「私はね、すごいのは利用者さんだと思いますよ。赤ちゃんが苦手だったり犬が苦手だったり、また自分の気持ちも上手に伝えられなかったり。そんな中でも人とコミュニケーションを取って一生懸命仕事をしているんですから」
そうか。僕らが当たり前にしていることをできない人がいる。つまりは、当たり前で作られた世の中では生きづらい人がいるんだ。
僕はこんなに普段の自分と違う環境があることを、今まで知らなかった。
「佐藤さん、本当にありがとうございました!」
こうして初めての支援ボランティアは終わった。
障害者施設での支援ボランティアの注意点
さて、支援ボランティアの1日はこうして終了した。
僕が思うに、障害者支援のボランティアは楽しい。だから是非ともオススメなんだけど、少しだけ注意してほしいところがあるんだよね。
だから次は、ボランティア活動を行う上での注意点を解説するよ。
制約が多い
障害者支援の現場では、環境作りが徹底している。
そのため環境作りの為に自分が我慢しなくちゃいけないことが出てくるんだ。
というのは、障害を抱える人たちは様々な問題を抱えており、それに配慮する必要があるからだ。自分のことは当然、二の次になる。
- たとえ自分がエアコン嫌いでもエアコンの温度は一定に保つ
- 食べ物に固執する利用者に配慮するため、お菓子は持ち込まない
- 同じく、利用者に配慮するため飲み物はお茶のみにする
あくまで利用者が第一優先なんだ。
その辺の我慢ができない人は、このボランティアは向かないと思う。
人によってはかなり退屈
僕はこれまで、ボランティアの最中に居眠りをしている人を何度も見てきた。1回や2回じゃないよ、何度も見てきたんだよ。
それくらい、人によっては退屈なものになる。
もともと興味を持って始めるとか、活動の中で何か目的を見つけるとか、意味を持って取り組めればとっても楽しい活動になるんだよ。
身の危険もある
これは注意してほしい。
利用者の中には他害行為(暴力行為)をする人もいる。それだけでなく、傷つく言葉が掛けられたり、物が壊されてしまうこともある。
これは盛ってない、事実としてある話なんだ。
ただ、基本的にボランティアの参加者には距離を遠ざけるなどの配慮がされる。そのようなパワフルな利用者の支援を任されることもほぼ無いだろう。
もしも心配なら、事前に「ここで気をつけたほうが良いことはありますか?」と質問をすれば、分かりやすく教えてくれるでしょう。
ってか、その前にあっちから言ってくれると思う。
まとめ
それじゃあ、簡単にまとめていくよ。
今回は体験談風に障害者支援のボランティアを紹介してみた。
ただし、これはただの例だと思っておいてほしい。施設によって活動内容も支援内容も利用者も様々なんだ。
これをきっかけにボランティアに興味を持ってくれたら、僕はとても嬉しいです(*^▽^*)
ボランティアのメリットについては以下の記事でまとめているよ。ボランティアのまとめサイトも紹介しているから読んでみてね。
最後まで読んでくれてありがとう。